「僕と彼女と古里の」をプレイして下さって有り難うございます。感想などありましたらMessageFormからお聞かせください。
「僕と彼女と古里の」を書こうと思ったのは、もう何年も前のことです。良くある話、いわば使い古された話であり、それ故に、面白さが分かり易いものです。一度こういうのを書いてみようと思っていました。
私は、こと、このオンラインノベルゲームに関しては、ネタがあれば、書くまでに何年も温めるということはありません。最長でも半年ちょっとぐらいです。そして温める理由は、単純に書く時間がないからだったりします。
でもこの「僕と彼女と古里の」は、実現までには随分と、3年以上の時間がかかってしまいました。
一番の悩みは、ネタがあくまで”読み物”だったからです。オンラインノベル”ゲーム”にするより、小説向きのネタだからです。けど小説にはしたくなかった。それでズルズル長引いてしまいました。
しばらくして、別の、同じように行き詰まっているネタがあり、それを合体させることを思いつきました。これなら面白く出来そうだと思いましたが、その先もまた長い。やはり「ゲームとして面白いか?」という問題は残っていました。
それからまたしばらく経ち、今の形をふと思いつきました。そうして、この「僕と彼女と古里の」は、ようやく形になったのです。
注意:以下はネタバレになります。
「僕と彼女と古里の」は、ダムによって失われた古里を想う話です。さだまさしさんの「水底の町」という歌が元ネタになります。まあ、元ネタと言っても着想を得ただけで、この歌に関連するような話は出てきません。
夏の日照りが続き、いよいよダムの水が底をつこうかという時に、ダムの底から、沈んだはずの町が現れます。テレビニュースでは毎年のように繰り返される、貯水量の話。テレビに映し出される、赤土色のダムの底。それを見ていた彼女は、咄嗟に車を走らせたのです。
きっと彼女は、今までずっと気になりながらも、実際に沈んだ町を見るのは怖かったのでしょう。春に満々と湛えられたダムを見られても、”何か”が見えるかもしれない(そしてきっと、見えたとしても、見えなかったとしてもショックを受ける)夏には近づかなかった。けれど、ふと、行ってみようと思った。ひとつの区切りをつけるために。
この物語のもう一つのポイントは、”僕”です。僕の正体は、きっともう、皆さんご存じでしょう。すぐに気づいた方がいらっしゃったとしたら凄いですね。いちおう、最初は分からないように、そして読み返すとなるほどと思う、そんな描写や選択肢を心がけました。
物思いと女の子と猫というのは似合いますね。新海誠さんの「彼女と彼女の猫」というアニメ作品でも”僕”は猫で、似たようなことを考える人は多いのかな、と思ったりしました。
次に生まれるなら、猫になってみたいですね。
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