リネージュ日記
<砂漠・狩り・オークション・アルティメットバトル・ヴァラカス復活>



 話せる島でしばらく狩りを続ける。かなりお金も稼ぐことが出来た。すでに13万アデナを超えている。弓の使い方も覚えた。いつもは魔法に頼っていて、すぐ魔法が尽きてしまって村に帰らざるを得なかったが、今は弱い敵は弓で射て、それを合図にヒューイとルーパスに戦わせている。つまり僕の疲労をかなり抑えることが出来るし、魔法は特に回復や防護といったものに回せる。それが余裕をもって稼ぐのに役立っている。
 いつもの狩り場では、ある程度安全にお金は稼げるが、物足りなく感じてきた。かといって南東の森でドレッドスパイダーなどを相手にするのは辛い。新しい狩り場を探した方がいいかもしれない。
 アイテムも溜まってきた。話せる島で売れる物は随時売っているが、売れない物は溜まる一方。グルーディオまで売りに行くことにする。徹夜で狩りをして、そのまま始発の船に乗り込んだ。ついでに狩り場を探しに行くべきだろうか。まだ見ぬウッドベックという村の近くに、いい狩り場があるという噂を聞いたのだが。

 グルーディオから東へ。ウッドベック村に歩いて向かう。ショートカットして森を抜けると荒野に出た。ここはブラックナイトが集団で現れる場所だ。彼等の強さはハンパじゃないが、しかし、こちらから攻撃を仕掛けない限り襲ってこない。荒野に出るスケルトンやスパルトイを目当てに狩りをすることもあるが、多量に出て囲まれると厄介だ。実際、今回も囲まれそうになり、慌てて荒野から逃げ出した。
 森を抜けると海岸に出た。いか、川岸だ。どうやらウッドベック村よりずっと北へ来てしまったらしい。スパルトイに追いかけられた時に、思いの外、北へ逃げていたようだ。川岸を見ながら村を目指す。ウェアウルフやジャイアントスパイダーを退治しながら南東へ。川が北東へ折れるところで、森へ入って南へ進むと、すぐに砂漠に出た。これは以前SKTからケントへ向かおうとしたときに通った場所に違いない。ウッドベック村は、この砂漠を越えた向こうのはずだ。砂漠を迂回しながら南を目指した。

 しばらく歩くと砂漠から不気味な生物が向かってきた。巨大なアリとスコーピオンだ。移動しながら、遠距離魔法で相手の強さを計りつつ戦っていると、今度はライカンスロープまで現れ、一緒になって僕たちを追いかけ始めた。幸いにもMPはほとんど使っていなかったので、覚えてからまだあまり使っていなかったファイアーボールを試した。MPの消費は激しいが、複数の敵にダメージを与えられるファイアーボールは、こういう時には有効なはずだ。使い慣れないファイアーボールを撃っては離れ、また撃っては離れ。砂漠の端を懸命に逃げた。ようやくモンスターを退治した時には、MPは底を尽きかけていた。さて困った。これからウッドベック村を探さなければならないというのに。

 幸運なことに、村はすぐ見つかった。僕がスコーピオンなどを退治した場所から、ほんの少しの場所だった。村で一旦休息を取り、ゆっくり見て回ることにした。

 この村には、アイテムを保管してくれる場所も、武器屋などもない。あるのはアイテム屋だけのようだ。拾った物のほとんどは売りさばくことも出来ない。ここを拠点として北の砂漠で狩りをすると良いと聞いたのだが、かなり不便な場所のようだ。犬を預かってくれるのは嬉しいのだが。
 テレポート屋をやっているトレイという人物によれば、ここからグルーディオとSKTに行けるようだ。これを使えば不便さは問題ではないだろう。お金がかかるのを除けば。それなりに稼げるのなら使ってもいいのだけど、どうなんだろう。
 このトレイ氏は、どうやら異国から来た人のようだ。まだ言葉が慣れていないのか、グルーディオのことをグルーディンと発音していた。ちなみにグルーディオはケント城領で、ここウッドベック村はウィンダウッド城領だ。

 どうやら僕は勘違いをしていた。アイテムを保管してくれる人はちゃんといた。僕が見落としていただけだった。あんなに目立つ場所にいたのに。おかげでこの村も幾らか便利に思えてきた。今は閑散としているけど、広場の広さといい、ひょっとしたら、時期が合えば、大勢の冒険者が押し掛ける場所なのかもしれない。
 ただ、敵の強さといい、不便さといい、僕にはまだ少し早いような気がする。もっと強くなって自由に歩き回れるようになったが、この場所で狩りをするのもいいかもしれないけど。



 少しだけ砂漠で狩りをしてみた。出てくるのはホブゴブリンやオークなど。オークウィザードやリザードマンは初めてだが、準備をしっかりしていれば怖い相手ではないことが分かった。スコーピオンは出なかった。ひょっとしたら、スコーピオンは砂漠の北の方で出るのかもしれない。村に近い南の方なら平気なのかも。これなら訓練も出来そうだ。
 そう思った矢先、荒涼とした大地に一際白い鳥を見つけた。大きな翼を羽ばたかせている。だがそれは鳥ではなかった。ハーピーだ。ぞっとして逃げようと思ったが、わずかに遅く、ハーピーが襲いかかってきた。途端に体が痺れて動かなくなる。しまった、このままでは石になってしまう。慌ててテレポートで逃げた。そして帰還しようと思ったところで、体は完全に固まった。グールの持つマヒ毒とは比べ物にならない早さで、僕の自由を奪ったのだ。
 幸運なことに、飛んだ先ではモンスターは出なかった。僕はすぐに回復し、グルーディオに飛び帰ることになった。ウッドベックの広場で、アーススキンをかけて貰ってなかったら、僕はやられていたかもしれない。

 ハーピー対策はどうしたらいいのだろう。アイテム屋にいってみたが、それらしい物は打っていない。グールの毒にはシアンポーションが役立ったが、ハーピーのマヒにも使えるのだろうか。



 いい気になって夜の狩りに出かけたのが失敗だったかもしれない。準備は万端整えたはずなのだが、袋叩きにあって逃げ帰るハメに。ルーパスが2度もやられてしまった。最近、ヒューイとルーパスのコンビは抜群で、力の差は感じなかったし、やられることなど無かったのだが、ここでの戦いでは、やはり地力の差が出る。ルーパスはまだ、ヒューイに比べれば経験が足りないようだ。

 だが、このまま逃げ帰っては、ここまで足を運んだ意味がない。強いて言うなら、ルーパスがやられるのは、相手が強いからではない。慣れきった戦いで稼ぐことで、安全な戦いに慣れてしまっていた自分の油断だった。
 じっくりと回復に努め、夜が明けるのを見計らってから、再び砂漠に向かうことにした。アイテムも買い込んだ。しばらくは赤字かもしれない。稼ぎは期待しない。まず、ここでの戦い方を覚えよう。


 慎重に戦っていたつもりだったが、またやられてしまった。今度はヒューイだ。しかも3度も。どうも上手くいかない。引くべきタイミングが掴めない。ここの敵は強いのだから、少しでもピンチになったら逃げてもいいのだ。特に砂漠の中に入って行くと、巨大蟻より更に大きなジャナイントアントソルジャーや、バジリスクなんて化け物まで出てくる。しかも、戦っていると彼等は寄ってくるのだ。囲まれそうになったらすぐ逃げるべし。ヒューイやルーパスが襲われそうになっても同じ。もう少しで倒せそう……なんていう欲が、結局敗北に繋がっている。危険を避けることを徹底しよう。

 ウッドベック村は賑やかになった。やはり冒険者の数が多い。みな、北の砂漠y南の森で、稼いだり、あるいは訓練をしているようだ。

 大きなアリの穴を見つける。そうか、奴らはここから出てきているのか。それとも、これは巨大なアリ地獄だろうか。
 そう言えば噂で聞いたことがある、「アリ穴」の奥に女王アリがいるという。このアリ穴にも入れそうだが、僕が入ったらあっという間にやられてしまうだろう。近づかないに限る。

 そう言えばウッドベックの地図を買っていなかった。早速購入。この近くにはウィンダウッドという城がある。地図もウッドベックではなく、ウィンダウッドの地図だ。これで砂漠で迷わないで済むぞ。



 オアシスを見つけた。なんとこの荒れた大地の真ん中で行商をしている男が居た。アシュールという名の男だ。灼熱の太陽に焼かれ、肌は浅黒く日焼けしていた。ここでポーションも手にはいる。なるほど、これは便利だ。だが、砂漠の真ん中にあるこのオアシスまで到着するだけで、僕には危険な旅だ。

 やった! 初めて1度もやられずに狩りを終えることが出来た。

 またしてもヒューイがやってくれた。行商をしている人の張り紙を持ってきてしまったのだ。狩りの成果を渡すように言うと、その場で近くにある物まで”狩って”持ってくるのだ。行商人には謝って、盗った物を返した。どうしたらいいか思案したが、意外に簡単な解決法があった。町に戻ったらまず犬を預けるのだ。そうすれば、その時点で持っているものを全て渡してくれるし、新たに”狩って”くることもない。なんだ簡単なことじゃないか。少しばかりお金がかかるし、場合によっては時間もかかるけど、ゾロゾロ犬を引き連れて町中を右往左往するよりはいいかもしれない。

 砂漠での狩りは赤字になる。今の僕では、稼げるお金より準備やポーションにかけるお金の方が多いのだ。だが一つ良いことがあった。今まで手に入らなかったアイテムが結構手にはいるのだ。一番嬉しいのは、”祝福された”テレポートスクロールという奴だ。
 普通のテレポートスクロールは任意の場所に飛ばされるが、このスクロールは予め記録しておいた場所の中から、好きな場所に飛ぶことが出来る。町の行き来も簡単になるのだ。どこの町でも売っていないし、人から買っても1つ500アデナぐらいはする。他にもMPが早く回復するブルーポーションなど、町で売っていない貴重なアイテムや、買えばそれなりの値段がするアイテムが手に入る。中には魔法のヘルムなんて物まであった。僕には無用の長物だが、買えば15000はするし、売れば7500アデナにはなる代物だ。現金では赤字になるが、結果的には得をしているんじゃないかと思う。
 もう少し慣れてくれば、どの敵が何を持っているのかが分かるかもしれない。もう少しここで頑張ってみよう。


 またやられた。やられてしまっては、せっかくの訓練が台無しだ。
 相手はジャイアントアントソルジャー。コイツの攻撃は恐ろしい。万全を期していても、あの巨大な牙に一度噛まれると、僕など一気に半死だ。今度は油断して無かった。が、ポーションが尽きてしまい、逃げるのも遅れてしまった。帰還スクロールを使えば瞬時に町や村に戻れるはずなのだが、それも遅かったようだ。
 ポーションは余分に持っておくこと。やばい相手からは即座に逃げること。それともう一つ。ここではレッドポーションの回復量では間に合わないかもしれない。一度攻撃を受けると、レッドポーション3つか4つ分もダメージを受けてしまうのだ。接近戦になってしまった場合、回復量が追いつかない。
 だが、より回復量の多いオレンジポーションは高い。赤字が続いているのに、これ以上アイテムに費やすのはどうだろうか。悩むところだ。
 それに、思ったほどアイテムも集まらない。最初の狩りがあまりに成果が有りすぎたのか。

 閑散としていた村は、今は非常に賑やかだ。ひっきりなしに冒険者が出入りし、一時の休息を取る彼等があちこちで談笑している。和やかな雰囲気ではあるが、耳をそばだてると、狩り場での情報交換にも余念がないようだ。


 しまった、バジリスクだ! そう思った瞬間、僕の体は固まった。ジャイアントアントとスコーピオンとスパルトイに追いかけられている時だった。目の前に緑色の巨体が現れたと思ったら、すでに奴の吐く白い息が僕を包み込んでいた。石化だ。体は動かない。意識はハッキリしているのに。もうダメだ。このままバジリスクやスコーピオンやアリにやられるんだ。そう思って諦めたとき、突然、バジリスクを魔法が包み込んだ。直後、僕の体を傷を癒す魔法が包み込む。僕はスコーピオンに刺されるだけ。しかしその傷は、出来た次の瞬間には癒えていく。目の前をスケルトンがもの凄い勢いで横切る。いや違う。スケルトンに変身している人間だ。すぐ近くで見ていた人が、僕を助けてくれたのだ。彼等はあっという間にバジリスクを倒してしまった。凄いとしか言い様がない。
 僕は辛うじて助かった。だがスコーピオンは執拗に僕を追い回す。僕は懸命に逃げながら、遠ざかる名も知らぬ彼等に向かって「ありがとう」と言うのがやっとだった。掠れた小さな声は、きっと彼等には届かなかっただろう。


 どうやら僕は勘違いをしていたようだ。砂漠は狩り場にいいという噂があったのだが、それは、僕が今まで行っていた砂漠の北側ではなく、もっと南の、それも端の方。南東にハーピーがいる場所があって、そこにリザードマンなどが出るので、そこが僕ぐらいの人間には狩りをするのに丁度いい、という事だったようだ。
 ハーピーは手強いが、たいてい空に浮かんでいるので、近寄らなければ襲ってこない。逆に、退治しようと思ってもすぐ空に逃げてしまい、降りてこなくなるので、狩りには不向きだ。つまり手を出す必要はない。

 ところでこのハーピーだが、空に逃げられた場合、肉を置くと降りてくるという噂を聞いた。そして希にだが、非常に貴重な物を持っているらしい。なるほど、狩るのが無意味という訳ではなさそうだ。



 メディテーションという魔法が欲しい。MPの回復が早くなるのだ。今は回復するために、ひたすら長い休息を取るしかないが、その時間が非常にまどろっこしい。

 夜、テレポート屋を利用してグルーディオへ、更に話せる島へ。やはり効率のいいこの狩り場で、もう少し稼いだ方がいい。今は夜だし、グールも出る。急ぐために、2000アデナ近くを払ってテレポートで運んで貰った。今の時期なら空いているし、自由に狩りが出来る。さぁ、稼ぐぞ。

 一晩で1万5千アデナを稼ぐ。やはり慣れた場所が良い。特に今夜は誰もおらず、ほとんど一人で狩っていた。おかげで沢山稼げたし、訓練も出来た。もうしばらくはここで狩りをした方が良さそうだ。


 徹夜の狩りの後、始発の船に飛び乗る。集めたアイテムをグルーディオで売るためだ。というのは名目で、海を渡るのが一つの習慣になっている。往復600アデナかかるので、わざわざ売りに行っても儲けはあまり出ない。それならアイテムを破棄して、狩りに勤しんだ方が本来は得策なのだ。船にも慣れて酔わなくなったし、一人で乗っていると貸し切りのようで楽しい。

 ついでにギランまで足を伸ばした。アルティメットバトルの開始4分前と聞いて、せっかくなので観戦していくことに。残念ながらランキングトップ10の選手は出ていない。しかもエルフが4人もいることに驚いた。一人はオリムという女エルフだ。弓使いがこの密集戦でどれだけ戦えるのか見ものだ。
 結果、なんと最終戦まで16人が生き残る大健闘。エルフ4人も見事に生き残った。ボスであるジャイアントアントクイーンが登場するや、16人が一斉に飛び掛かる。見事人間側の勝利に終わった。

 帰りはいつもと違って、ケントの西を回って帰った。深い森が続いていた。あまり西に行くと、前に行った火田民村に向かってしまうので、今回はケントに近い森を通り抜ける程度に留めた。なにせあの辺りにはオーガが出るので、あまり近寄らない方がいい。ケントの西の森には、大したモンスターは出なかった。

 グルーディオ発の船に乗り、再び話せる島へ。多少船を待つ時間があったが、グルーディオ近郊には手頃な狩り場が無いので、そのまま1時間ばかり待った。狩りなら、話せる島で嫌というほど出来るのだから。

 島に戻ると、村は騒然としていた。立ち話をしている人の数が多い。しかも皆、焦り、あるいは畏怖しているようだ。耳を傾けると、信じられない噂が飛び込んできた。『――火竜が復活する。』 世界最強のモンスター、火竜ヴァラカスの降臨である。ヴァラカスが復活すると、各地で恐ろしい火のモンスターが出現するという。話せる島とて例外ではないだろう。世界は一体どうなってしまうのか……。出来るなら噂が現実にならないで欲しい。



 話せる島での狩りは順調。所持金も20万近くまで貯まった。ヴァラカス復活の影響は話せる島にはないようだ。
 ヒューイの様子がおかしい。言うことを聞いてくれないのだ。どうやらヒューイは不満があるらしい。同じ狩り場でやっているのが飽きたのかと思ったが、主人としての僕に物足りなさを感じているようだ。早く主人としての威厳を回復しないと。
 ヒューイを残して狩りに出かけることにした。ヒューイは大きな戦力だが、言うことを聞いてくれないのでは僕も困る。ヒューイは犬小屋に預けることにした。犬の管理に長けている人のところでなら、ヒューイも大人しいだろう。
 これまでリーダーはヒューイだったが、ルーパスをリーダーに。そしてもう1匹は、ドーリーだ。実はドーリーにとって、これが初めての実戦となる。頑張って欲しい。



 ドーリーの育成は難しい。セントバーナードは歩きが遅いのだ。スピーディーな狩りに慣れていた僕は、のんびり歩くドーリーに困惑することもしばしば。加えて、まだ未熟なドーリーは、今の僕らの狩りにはついてこられない。かなり神経を使ってしまう。狩りの効率は非常に悪い。結局、ドーリーはまた次の機会に鍛えることに。

 ドーリーとの狩りの最中で、ヒューイに言うことを聞かせるコツを思いついた。もう一度ヒューイを連れていくことに。ヒューイも落ち着いて、僕の言うことをよく聞いてくれる。しばらくはこれでいこう。
 ヒューイの戦闘意欲は満々。故に、僕では興奮しているヒューイを抑えられないこともある。手に負えなくなったら、また預かって貰って、その間に対策を練ればいい。ヒューイが悪いのではなく、飼い主としての僕がしっかりしていないのが悪いのだ。


 話せる島の、いつもの狩り場では訓練にならなくなってきた。早めに次の狩り場を見つけないと。うーん……。

 久々にグルーディオへ。ウッドベック村の近くで、民間主催のオークションが開催されるとの噂を聞いた。世界中から人が集まるらしい。見に行ってみようと思ったが、開催日時はもう間近。グルーディオに行くついでに足を伸ばしてみるつもりだけど、間に合ってくれるだろうか。

 グルーディオに着くと、もうオークションの開催時間を過ぎている。今から行っても遅いかな。と思っていると、オークションの場所が変更になったという話を聞いた。ギラン闘技場前で開催するため、開催日時も少し遅れるという。早速ギランへ向かった。
 闘技場前に到着すると、ちょうどオークションが始まったところだった。提示されるアイテムに、皆が価格をつけていく。今回はどうやら、「余ってしまった微妙なモノ」らしい。つまりはイロモノのオークションだ。1000アデナ単位での競りになる。
 アビスゲートという名のエルフから、RKSという武器が出品された時、会場がどよめいた。僕には分からないけど、レッドナイトソードという、なかなかの品らしい。が、価格はあまり動かない。プレゼンターがすかさずRKSの紹介を始める。すぐに価格が動いた。結局33Kでクロロロ氏が落札。
 次の商品は+0COM剣。26Kでまたしてもクロロロ氏が落札。次にエルブンワッフル50個、そして幸運セットまで出品。オークションが進むにつれて盛り上がり、来場者からは鳴り物まで登場。常時楽しい雰囲気で進行した。
 女エルフのうさぎキック氏から出品されたのは、「情熱のアミュレット」「情熱の指輪」「マジックフルート」「ホワイトデーカード10枚」の微妙な4点セット。それをオディール氏はこう紹介した。曰く「新婚生活にぴったりっぽいセットです」。
 出品者の中には、変身して出てくる人もいた。正体を知られたくないのかもしれない。ビーグルに変身したカズバーン氏の出品は、希望のアミュレット。が、それにはおまけがついた。真実のアミュレットとサンバーストだ。会場が一気にどよめいた。あっという間に価格は上がり、5万アデナで競り落とされた。
 他にも数々の品が登場した。イロモノだといいながら、COP(プロテクションクローク)とBP(ブレイブポーション)30個のセットなども登場。これも人気を博して、価格が競り上がった。3万アデナで落札。
 そして凄い物が来た。西原理恵子という名の女ナイトから出たのは、なんと最高級サファイア5個セット。初声で10万アデナをつけて今回の最高額を軽く更新。プレゼンターであるオディール氏の説明に寄れば、最高級サファイアは時価の変動が激しいらしい。12万5千で落札価と思われた瞬間、14万の声が。結局それで落札。ここに至っては、何処が微妙な品々のオークションなのか分からない。
 しかしこれで終わらない。会場は熱気に包まれる。次のYasuty氏の出品は、武器強化スクロール2枚、防具強化スクロール3枚のセット。あっという間に価格は20万アデナを突破する。結果、23万1千アデナでじーじょ氏が落札した。
 この後も、続々と面白い出品作が登場。強化グリーンポーション100個セットなども出品され、夜になっても会場の熱気は続いた。翌朝まで続きそうだったが、狩りにも行かなければいけないので、闘技場前を離れることに。

 今回のオークションは、オディール氏の進行上手もあって、見ているだけでも楽しかった。残念ながら僕の欲しくなる物は出なかったが、また機会があったら来よう。



 ”祝福されたテレポートスクロール”を買う。通称b-tele。これは予め登録しておいた場所なら、好きな場所に飛べる便利なものだ。これまでは高かったので使わなかったのだが、よく考えたら、町と町の間をテレポートするのに300〜500アデナ払うぐらいなら、1枚500〜600のこのb-teleを使った方が便利だし、結果、安上がりだと気づいた。お金もあることだし、まとめ買いをすることに。取り敢えず30枚ほど購入したので、これから使っていこう。あとは、減ってきた復活スクロールの補充をしないと。誰か売ってないかな。


 島の東側に行ってスケルトン狩りをする。ぐるぐる作戦は使わず。あの作戦はダメージを受けにくいが、逃げている時間が多く効率が悪い。今回は多少ダメージを受けながらも強気で素早く各個撃破。おかげでスケルトンを多量に狩ることが出来た。が、スケルトンの頭蓋骨は入手できなかった。

 犬を預け、b-teleを使ってギランへ。ギランは今日も賑やかだ。復活スクロールを買い付けるのが目的だったが入手できず。何か良い物でもないかと物色していた所、隣にとても格好いいナイトが現れた。ナイトは、路上でやっているスキン屋にアーススキンをかけてもらっていた。なんとその人こそ、アルティメットバトルのランキングトップに君臨する妹子氏だった。ああいう人でもこういう所を利用するのか。なぜだか感心してしまった。
 妹子氏はスキンをかけて貰うと、そのまま広場の北の方へ。そっちは闘技場だ。ひょっとして今からアルティメットバトルに参加するのか!?
 闘技場へ行くと、開始5分前だった。急いで観客席へ。確かに妹子氏が会場にいた。妹子氏の戦いを見るのは初めてだ。試合直前、氏にシャバディという選手がしきりに話しかけていた。
 氏の戦い方は面白い。しきりに歩き回るのだ。特に序盤がそうだった。ともすれば、あの目立つ鎧を着ていなければ、何処に行ったのか見失ってしまうことさえある。無駄に歩かず手近な敵を倒していたSlayn氏とはまた違った戦い方だった。驚いたのは、ほとんど無駄に剣を振るうことがないのだ。剣を止めたと思ったら、ゆっくりと相手が倒れる。敵に取り囲まれてもまったく焦らず、悠然と歩く姿には驚くばかりだった。
 最終戦、残ったアイアンゴーレムの中にジャイアントアントクイーンが現れる。みなせ一斉に襲いかかり、程なくクイーンは退治され、残っていたアイアンゴーレムも全滅。人間側の勝利となった。
 戦いを堪能した後、再び広場へ。しばらく物色してみたが、良い物は見つからない。思い切ってウェルダン村に行ってみることにした。ドラゴンバレーに程近い危険な地域だが、テレポート屋を使えば安全に、しかもすぐ移動できる。

 ウェルダン村には冒険者がたくさんいた。復活したヴァラカスを退治するため、腕に覚えのある者達が集まってきているのかもしれない。だがギランとは違い、何処か空気が重苦しい。談笑している者が少ないのだ。ほとんどの者が無口だ。行商をしている者もいない。誰もが黙々と準備をし、休息を取り、あるいは荒野へと旅立っていく。ここはヴァラカスのいる火口への中継点なのだ。僕みたいな弱い人間が長居する場所ではないようだ。取り敢えず地図だけを買い求め、村を後にした。

 ウェルダン村からテレポートで運んで貰える、象牙の塔の村という場所に行ってみた。寒い寒い、真っ白な世界だった。ここは僕の憧れの場所、魔法都市オーレンへの入口となる村だ。村に北には、象牙の塔があり、そこでは強力な魔法が手に入るという。また水晶の洞窟と呼ばれる場所もある。だが今の僕ではここまで。村をぐるりと見て回り、地図とメイジスタッフを購入して帰路についた。

 今回、ここまで足を伸ばしたのには理由がある。ウェルダン村と象牙の塔の村を、祝福されたテレポートスクロールで移動できるように記録しておいた。これで手軽に行き来が出来るようになった。今後、こちらの方に来ることがあれば役に立つと思う。その前に、もっと強くならなくちゃいけないんだけど。


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