リネージュ日記
<再会・ヒューイ・新しい町・グール狩り>



 話せる島へ。
 活気のある村だ。そこここで、冒険者らしき人達が話をしている。初心者らしき女エルフに、優しくエルフの生き方を教えるエルフがいたり。掲示板もある。色々な情報がここに集まっているのだ。男も、女も、老いも、若いも、皆一緒になって談笑している。気さくで、明るいところだ。
 村の中でラダーという人物に会う。革製品を作っているという。ココが一番僕が喜んだことだ。向こうで多くの皮を持て余していたのだ。上等の防具も作っているらしいが、残念ながら、ランプメタルも数が必要だという。僕はランプメタルは1つしか持っていなかった。でも、これで皮の使い道が分かったので良かった。
 試しに、高級皮革を作ってもらった。成る程手触りも強度もいい。皮だけから作れるレザーベストも作ってもらうが、実用的ではなかった。

 一回りしてみたが、まだ僕が来るような場所ではないようだ。外には見知らぬ化け物が彷徨いている。危険を冒すことはせず、元の歌う島に戻ることにした。あっちでもまだ、やるべきことは多い。


 ポーションを落とした。親切な人が持ってきてくれた。その直後、ポーションに気を取られてオーク戦士に不意打ちをくらった時も、ヒールをかけて助けてくれた。
 それまで2度連続で痛い目に遭っていて、アイテムは落とすは深手は負うわ、収穫は無しだわと、すっかり落胆していたのだけど、この出来事で気持ちが楽になった。ただ、驚くことの連続で、つい名前を聞きそびれてしまったのが残念だ。


 僕は再び話せる島へ向かった。この島は広く、様々な場所がある。退治すべき獲物も豊富だ。種類も多い。強い奴もいる。こちらへ拠点を移すことも考え、下見を始めた。島の地図を始め、新しいアイテムもいくつか手に入れた。そして島の探索中に、僕は感動的な出会いを果たすことになる。

 島の南にある森で、ジョンソンという男と出会った。彼は犬を飼育することを生業としているようだ。僕は、かつて共に過ごした狼のことを思い出した。ゴロウだ。そろそろ別のパートナーがいてもいいかもしれない。この島を一人で歩くには、僕はまだまだ弱い。ちょっとだけ見てみよう、そんな気軽な気持ちで、僕はジョンソンの犬小屋へ入った。
 シェパード。ドーベルマン。ジョンソン自慢の犬たちだ。姿勢を正した犬の中に、野生の匂いを残したものが一匹混じっていた。犬、ではない。その灰色の毛艶を、僕が忘れるはずもない。それは確かに、あのゴロウだった。
 ゴロウは僕の姿を見て、眠そうに視線を上げた。この倦怠感を纏った態度。ゴロウに間違いない。別れたあの時以来、ずっと持ち歩いていた首輪を差し出すと、ゴロウは、かつてそうしていたように、僕の傍らに立った。ゴロウも僕を覚えていた。

 ジョンソンの話によれば、怪我をした森を彷徨っている所を捕獲され、ジョンソンの元へと届けられたのだそうだ。以来、ゴロウはここで暮らしていた。他の誰とも馴染むことなく。僕が迎えに来るのをずっと待っていたのだ。

 僕は早速、ゴロウに肉を与えた。ゴロウはそれを食べ尽くした。お腹一杯、とばかりにペロリと鼻を舐めた。腹ごしらえも済んだことだし、しょうがないから旅についてってやるよ。そんな風に言っているようにも見えた。

 僕とゴロウの旅が、また始まる。



 順調。ゴロウも成長した。一緒に戦うのはやっぱり楽しいし、安心感がある。

 村の広場でフローティングアイ肉を拾う。いくつも。大丈夫かな、これ。腐ってないのか?


 Elwingという人物から連絡が。いつかこちらから訪ねようと思っていたのに、向こうから連絡が来るとは驚いた。会ってみると、なんとエルフだった。しかも女性だ。とても親切な人で、色々ともらってしまった。早速役に立つ。瀕死のゴロウを、もらったばかりの復活のスクロールで救うことが出来た。
 でも、せっかくもらった上等な短剣を早々に無くしてしまった。どうしよう……。


 しばらく歌う島で狩りを続けていたが、やはり非力な僕と、狼のゴロウだけでは心許ない。新たに犬を仲間に引き入れようかと思ったが、なかなか上手くいかなかった。
 話せる島をぶらぶらしていると、ドーベルマンを貰って欲しいという人が居た。500アデナ。最近の狩りですっかりお金持ちになっていた僕にとっては安い値段だ。まだ狩りに参加したことがないドーベルマンらしい。僕としてはその方がいい。一から旅を始められる。即戦力としては不安も感じない訳ではないが、元々戦闘能力の高いドーベルマンなら、きっと期待に応えてくれるに違いない。
 さっそくドーベルマンを引き取り、仲間に加えることにした。売り主は卵を5個つけてくれた。ドーベルマンは腹が減りやすいのだという。だから腹持ちする卵を与えると良いのだそうだ。もっとも、今の僕らの狩りでは、肉は幾らでも手にはいるから、その心配はないだろう。
 このドーベルマンはヒューイと名付けた。精悍な顔立ち。凛々しい姿勢。眼光は鋭く、体躯は強く逞しい。生粋の戦闘犬だ。ヒューイというのは、僕の故郷では”鋼の刃”という意味があるのだ。こいつは訓練も行き届いている。初対面だというのに、姿勢を正して僕の命令を待っている。きっと役に立ってくれるだろう。

 ついでに買い物もすることにした。新しいレベルの魔法が使えるようになったのだ。有効な魔法が多い。だが意外に出費がかさむ。お金を貯めておいて良かった……。



 新しい仲間であるヒューイを連れて狩りに出た。ヒューイは期待以上の働きを見せてくれた。さすが狩りを専ら生業にする犬だけはある。長い足で何よりも速く走り、強靱な顎で獲物の身を食いちぎる。獲物に襲いかかるときの力強さでは、経験豊富なゴロウを遙かに凌ぐ。これが本能という物だろうか。これで旅が随分楽になる。ヒューイを引き取って良かった。
 ただ、ヒューイの狩りの力は申し分ないが、どうやら引き締まった体は怪我に弱いらしい。ゴロウの方は攻撃力はそれ程ではないが、体力的にはヒューイよりも上のようだ。
 時折勢い余って見当違いの方向へ走ってしまうのは、まだまだ若さ故のことだろう。ヒューイは実戦経験が少ないのだ。
 それにしてもヒューイはよく食べる。ゴロウの5倍。いや、ひょっとするともっと食べるかもしれない。10倍ぐらい食べているかもしれない。それを考えると、ゴロウはなんて小食なんだ。

 ボーンピースを集め始めた。


 Elwing氏から頂いた復活の巻物が尽きてしまった。どうやらこれを入手するには海を渡らねばならないらしい。いい機会だ。新しい町に行くのも悪くない。しかもここよりずっと大きな町らしい。城もあるそうだ。船に乗って行ってみよう。

 船着き場に行き、案内人の所でチケットを買った。船は1日4本走っている。次の出発は16時。今は13時。少し間があるので、狩りをしてきてもいいのだが、買い物を済ませてからのんびり待ってみよう。

 すると、急に連絡が入った。サトラレ君というエルフだ。Elwing氏の知人らしい。海の向こうを案内するので一緒に船に乗ろう、と言うのだ。あまりに良いタイミングだ。さっそく村の入口で落ち合うことにした。


 サトラレ君と一緒にグルーディオの下町で復活スクロールを買う。1つ1000アデナは痛いが、必要なものだ。どうやら店の定価は高いらしく、路上のフリーマーケットなどで買えば600アデナぐらいらしい。今度からはそれを買うようにしよう。


 長い石橋を渡ってケントへ。ケントを案内してもらったあと、ケント城へも足を伸ばした。門の前が騒がしい、どうやら人がいるようだ。サトラレ君が驚きの声を上げた。新しい女王だ。案内をしてくれたサトラレ君は彼女をしきりに敬い、丁寧に挨拶をした。彼女の周りには威厳が満ちていて、知らず知らず圧倒された僕は、ほとんど口を開けなかった。ただただ、「へー」と感心するばかりだった。
 あとで聞いてみると、このケント城は難攻不落の堅城らしい。他の城ではそれこそ日替わりで城主が交代する中、実に7ヶ月も守られてきたのだ。その城が落ちた。僕が島に流れ着く、ほんの数日前のことだ。国中が大騒ぎになり、ケント城は人々で身動き取れないほど溢れ返ったのだとか。落城させた血盟を率いているのが、何を隠そう、僕のすぐ目の前にいたあの女王なのだ。
 会おうと思っても会える人ではない。もう少しでもきちんと挨拶をしていればと、悔やんでも後の祭りだった。

 その後、ギランへ。人が一杯。目眩がしそう。
 犬レースを見る。訳も分からず買った。フェコラに賭ける。#4チャセムが優勝。賭事には手を出さないようにしよう。

 復活スクロールを買うだけのはずが、思わぬ長旅になった。よもやこんな遠くまで足を伸ばそうとは。
 駆け足の旅だった。僕は訳も判らずついていっただけだ。自分の足で歩けばまた違った感慨もあるだろう。

 最後にアルティメットバトルを見た。次々にモンスター達が襲いかかってくる。逃げ場はない。敵か味方かも僕には分からない。
 slaynという人に注目しろと教えてもらった。成る程彼は素晴らしい戦いを見せた。現在ランキング3位の猛者だという。つまりは世界で3番目に強い奴だということだ。
 終わりかと思ったら、これから第二グループが始まるという。わずか1分間の休憩で、彼等はまたモンスターの中に飛び込んでいく。さらには第3グループまで。
 白い巨漢イエティに、真紅に燃えるサラマンダーまで出てきた。サイクロプス。ケルベロス。
 そして4分間の休憩のあと、最終戦があるというアナウンスが。しかし第3グループの化け物が場内を埋めている。しかもサイクロプスやアイアンゴーレムなどの強敵ばかりだ。この4分間に、生き残っている化け物を退治して、尚かつ回復までこなさねばならない。
 最終戦の相手はジャイアントアントクイーン。巨大な女王アリだ。それを生き残った者全員で倒す。今回は生き残った者の数が多く、割合あっさりと女王アリを倒すことが出来た。

 どうやらここでは竜が出ることもあるようだ。いつか生で見てみたい。


 サトラレ君にレッドポーションの使い道を教わった。ウィザードと言えどヒールよりはレッドポーションお方が使い勝手がいい。レッドポーションはタイムラグもなく、即座に術者の体力を回復できる。即ち、やられそうになった場合にすかさず使うことが出来るのだ。なるほど便利だ。今までヒールを唱える前にやられていたのが、やられなくなった。
 ただ、非力な僕にはレッドポーションを何十個も持ち歩くのは大変だ。こまめに荷物を整理して、要らない物を破棄したり、すぐには使いそうにないものは預けるようにしないと。


 ヒューイの成長ぶりは凄まじい。本当に素晴らしい働きた。ゴロウも良くやってくれているが、元々このような戦いには向いていないのかもしれない。性格なのか、それとも狼とはそういうものなのか。
 これからもっと戦いは辛くなる。ゴロウはずっと一緒に旅をしてきた大切な家族だけど、果たしてこのままゴロウを連れていくことが良いことなのか悩む。一緒に旅をすれば、自分もゴロウも死ぬ危険が増すだけかもしれない。


 突然テレポートされた。歌う島に戻れなくなってしまった。どうやら歌う島は、一定の強さに達すると戻れなくなるようだ。これからは話せる島が拠点となる。


 隣の人の犬が死ぬのを見た。なんとか手助け出来ないかと考えたまでは良かったが、気を取られた隙に自分までやられてしまう。おまけに気が付くと、買ったばかりの復活スクロールを落としてしまった! 大枚はたいたというのに……。
 仕方なく、再び船で買いに行くことにする。だがもう夜。船が出るのは明日の朝だろう。いちおう船着き場に行ってみるが、見張り番が退屈そうに突っ立っているだけだった。今日はもう寝よう……。

 朝、早めに起きて狩りへ。オークの装備が揃ったので着けてみる。バラバラではイマイチに感じて使ってなかったが、一式揃えるとなかなかだ。意外に軽いのも魅力。これなら今の僕にちょうどいい。それから船着き場へ。チケットを購入。始発までまだ1時間ほどあるということなので、近くのアイテム屋で買い物。それから波止場へ。
 船で出発を待つ間、ヒューイに餌をやる。乗客は僕らだけのようだ。前は船酔いしたが、今回は波が穏やかだといいな。

 1時間でグルーディオに到着。穏やかな航海だった。
 船の上では、ケントやギランでの体験を思い出していた。彼の地には驚くほど強い人達が、それも大勢いる。僕もいつか、彼等のようになれるだろうか。いや、彼等のようにはなれなくてもいい。大成は成さなくてもいい。僕は彼等の持つ信念を見習いたい。彼等が彼等なりの信念に沿って強くなってきたように、僕は僕なりの強さを見つけられるだろうか。
 ゴロウはずっと僕の傍らで海を見ていた。ゴロウの体は傷痕でいっぱいだ。毛もボサボサで、かつての艶はない。それがなぜか寂しかった。隣で、ヒューイが姿勢を正して僕を見ていた。



 ゴロウが深手を負った。ヒューイの傷の方が深かったが、ヒューイは回復も速かった。ゴロウの怪我は長引きそうだ。それに、今からケント城を通ってその先まで向かおうと思っているので、ゴロウはしばらく休養することにした。
 ヒューイと二人だけで旅に出るのは初めてだ。ゴロウがいない旅も久しぶりになる。どんな旅になるだろう。

 グルーディオからケントへ向かう途中、オークに何度か囲まれ、MPもレッドポーションも尽きるなど、いきなりの危機もあったが、どうにかケントに辿り着いた。そして森を通り抜けてギランへ。最初は勝手が違っていたが、この道程で、ヒューイとの旅のコツが掴めた気がする。

 すぐに話せる島に渡ろうと思って、帰りの船のチケットを買っておいたが、その後、怪物に襲われてなかなかグルーディオにたどり着けなかったり、ヒューイが深手を負ったり、尽きたアイテムの調達に追われたり、あるいは波止場に着いたのが夜になってしまって船がなかったり。とにかく海を渡ることができなかった。おまけに先程は、戦いに夢中で船の時間を逃してしまった。
 ケント周辺での生活に慣れてきた。この辺りの怪物の強さは、今の僕には丁度いいかもしれない。ドワーフに囲まれたりすると危険だが、気を付けていれば大丈夫だし、いずれは強い敵との戦うことになるのだから、その時の戦い方も学んでおかねばならない。こちらで生活をしてもいいかもしれない。
 長い滞在になりそうだったので、ゴロウも呼び寄せた。怪我の癒えたゴロウも再びメンバーに加わり、また3人で旅をすることにした。



 久しぶりに話せる島へ渡ることにする。前に買ったチケットもあるし。
 早めに船に乗り込んで待つ。いい風だ。夕刻。その日の最終便に乗って、久しぶりの話せる島へ。

 話せる島が賑やかになってきた。市場で復活スクロールを売っている人を発見。10個で計6000アデナ。これでしばらくは大丈夫そうだ。なにせゴロウやヒューイを酷使しているので、このアイテムはよく消費する。おまけに高いのだ。

 良い狩り場を見つけた。そこで鍛錬を積んだ。ヒューイの成長は早い。頼もしい限りだが、ちょっと僕では手に負えなくなってきたかもしれない。彼の動きを見ながら戦闘をするのは難しい。ヒューイと旅を続けるには、僕自身がもっと戦闘に慣れ、彼等をうまく操れるようになった方がいいだろう。



 ある噂を聞きつけて、新しい土地へ一人で行ってみた。グルーディオから森を西に突っ切り、川を渡った場所にある小さな村だ。名は火田民村という。森を焼くことで畑作を行う火田農法で生活する人々が住んでいる。北にはエルフの森があり、すぐ近くにはオークが住み着いていて、今は危険にさらされているらしい。そのオークは、僕がこれまで見知っているオークとはまったく違って、非常に危険らしい。
 おまけに周りには、オーガも出るらしい。来るときに出会わなくて良かった……。

 村に着いてからも、目的の場所を探すのに苦労した。やっとの思いで辿り着いたのは、ロドニーという男が経営する闘犬場だった。噂通り、そこでは闘犬のために育てられた犬が売りに出されていた。そう、新しい戦闘犬を探しに来たのだ。
 居並ぶ犬たちの中で目を引いたのはシェパードだ。黒と茶色が半々の毛は艶々していて、とても元気な犬だ。その中から選んだのは、まだ幼さが残る人懐こい奴だった。ロドニーは、もっと強い奴も、十分に鍛えられた奴もいるぞと勧めてくれたが、僕はつい、一番優しそうな奴を選んだ。名前はルーパスに決めた。僕の故郷の言葉で「忠実」という意味だ。

 帰り道はルーパスと一緒だったが、いきなりオーガに出会う。あまりの大きさに一瞬声を失った。こっそり通り過ぎようと思ったが、すぐに見つかって追いかけられた。おまけに正面からはオークまで。慌ててテレポートで逃げた。本当に危険な場所だ。

 ルーパスはまだナリが小さいが、頑張っている。これから役に立ってくれそうだ。
 グルーディオ発話せる島行きの最終便が18時だったので、途中で幾つか戦闘をこなしつつも、急いで町に向かった。到着は17時半。なんとか間に合った。ルーパスを連れて、再び話せる島へ戻ることに。

 実はこの旅の途中、グルーディオで血盟に誘われた。丁重にお断りしたが、嬉しかった。僕も誰かに認められるようになったということだろうか。



 今日も話せる島で夜明かし。岬まで行って夜明けの海を見る。傍らにはヒューイとルーパスがいる。西側なのが残念だが、空のグラデーションは素晴らしい。夜通し戦ってきた疲れが癒されるようだ。ルーパスが吠える。犬もこの風景に感動したのかと思いきや、どうやら腹が減ったようだ。夜通し戦ったのだから当たり前か。

 ルーパスはよく食う。まだ育ち盛りだからだろう。戦いでの成長も著しい。失敗も多いのだが。落ち着きがないのも若さ故だろう。
 以前は驚くばかりの大食いだったヒューイは、このごろは普通だ。昔を思うと随分小食になったような気がして、心配してしまう。ヒューイには貫禄も出てきたように思う。僕との関係にすっかり慣れたようだ。犬笛で呼ぶと返事をするようになった。

 夜が明けて、怪物達もねぐらへと戻ったようだ。数が減ってきた。僕も一旦帰るとしようか。

 ルーパスも戦いには向いているようだ。いつの間にかゴロウよりも戦いでは役立つようになっていた。やはりゴロウに戦いは無理なのかもしれない……。


 話せる島で犬のバザーをやっている人が居た。そこで大きな犬を見つけた。抱えるほどの大きさがあるが、まだまだ子犬の部類に入るという。セントバーナードという。そう言えば、凄く大きな犬を連れている人を見かけたことがある。
 店主の腹が減ったということで店じまいする所だった。そうか、キミたちは残り組か……。最初に目のあったセントバーナードを引き取ることにした。名前はどうしようか。ゴツゴツした体。太い足。「ドーリー」と名付けた。故郷の谷にあった巨大な岩の名前だ。意味はそのもの「大きな岩」という。



 話せる島の入口に立っているゼムという人がグールの爪などを探しているという。そう言えば、いつも行く狩り場には、夜になるとグールがよく出る。グールの攻撃は怖いが、奴らはこの僕よりも足が遅いので、これまでも十分に戦えた。丁度これから夜になるので、ヒューイとゴロウを連れて早速出かけた。
 が、こういう時に限ってグールは出てこない。ゾンビばかりだ。冒険者が大勢いたから、グールはみな退治されてしまったんだろうか。仕方なく場所を変えることにする。確か北の岬にも出たはずだ。あそこはライカンスロープが出るから近寄らなかったけど、僕も強くなってるんだし、今なら大丈夫かもしれない。が、ここでもグールは見つからない。おまけにライカンスロープとウェアウルフに囲まれてボコボコにされてしまう。なんとか退治できたが、長居は出来そうにない。
 結局元の場所に戻って狩りを続けた。そして夜半過ぎにようやくグールを見つける。やった! が、他の人が退治してしまった。

 夜通し戦うつもりだったが、さすがに疲れた。戦果も荷物になってきた。ヒューイやゴロウにまで持って貰う始末だ。それもこれも、僕が非力だからなのだけど。だがもう少し頑張ろう。グールは夜にしか出てこないんだから。ひとまず、なにか腹に入れて休憩しよう。(プレイヤーが)
 と思って休憩を始めたら、いきなりグールが! すかさぐやっつける。が、目当ての品物は出てこない。
 夜半過ぎ、さすがに荷物が持ちきれなくなったので、一旦帰ることにした。
 気が付けば、狩りで手に入れたり、入手した品々を売って稼いだ所持金は5万を超えている。よく稼いだなぁ。でも今のところ使い道がない。今の生活には十分に間に合っているし、よりよい防具などを揃えるには足りない。今後のために貯めておこう。と思ったが、町で復活スクロールを売っている人がいたので、10個ほどまとめ買いをした。あって困るものじゃなく、無くなると非常に困る。
 その後、もう一度足を運んだが、グールに会えぬまま夜が明けてしまった。そのまま狩りを続けていたが、ホブゴブリンの大軍に囲まれて袋叩きにあい、レッドポーションも尽きてしまったので慌てて逃げ帰った。

 じっくり回復したあと、夜明け間際の狩りへ出発。夜が明ける直前に倒したグールから「グールの歯」を得る。やった。そして夜が明ける。今日の成果はこれで十分。あとは「グールの爪」だ。



 グールの大軍に襲われる。なんとか撃退。だがグールの爪は手に入らない。いつもは多い冒険者が見当たらない。まるで僕一人しかいないようだ。有益な狩りの場であるここで、誰とも会わないまま歩き回るなんて珍しい。
 と思ったら、やはり一人で歩いていてモンスターに囲まれているウィザードを発見。加勢して助ける。
 血盟に所属している人や、パーティーを組んでいる人達と違い、僕らは普段一人で行動しているが、困ったときはお互い様だ。僕も何度か助けられたことがある。

 どうでもいいが、ターンアンデットが有効だから簡単でしょうと言われていたのだけど、僕のターンアンデットが成功した事がないのはなぜだろう。

 もう何十匹もグールを倒したが、未だ「グールの爪」は手に入らず。二度ほどグールの大軍に囲まれたというのに。
 夜が明けていく。今日も収穫は無かった。貯まるのはお金ばかり。気が付けば6万に到達していた。お金は大切だが、今は「グールの爪」をなんとか手に入れたい。



 お金の使い道を覚える。ヘイストという、一定時間自分の動きが速くなるアイテムを多めに携帯することにする。不器用で足の遅い僕にはちょうどいい。これで戦いがより安全になる。化け物に取り囲まれる確率も格段に減るし、また、短時間で探索が出来る。今まではお金を貯めすぎていた。化け物を多胎辞すれば、それだけお金が入るのだから、お金をかけて、より多くの化け物を退治すれば良かったのだ。

 ヒューイを見習ったのか、ルーパスも呼ぶと返事をするようになった。子犬だったルーパスも、今ではいっぱしの戦闘犬だ。

 西の岩壁で三日夜を明かす。未だグールの爪は見つからず。夜明けが早くなった。4時半にはもう明るくなり始め、5時にはランプがいらなくなる。グールの出る時間が短くなったと言うことだ。

 やった! 遂にグールの爪を手に入れた。粘った甲斐があった。夜中の3時過ぎ。もう朝と言ってもいい時間だった。一体何夜ここで朝まで戦っただろうか。早速ゼムに届けると、「呪われた魔法書」というものを貰った。どうやら、今度はスケルトンの頭蓋骨を持ってくると、更に別の物と交換してくれるらしい。他に特に目的もないことだし、やってみようかと思う。が、スケルトンのいる洞窟は結構危険だ。行ったことがあるが、入ってすぐに危うく死にそうになった。大丈夫だろうか……。


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